このページでは、子どもの権利条約の原文(英語)と2種類の日本語訳を掲載してい ます。日本語訳のひとつは、六法全書などにも載っている(1)「政府訳」(公定訳)。もうひとつは、民間の訳としてはもっとも広く活用されている(2)「国際教育法研究会訳」です。

(1)と(2)のもっとも大きな違いは、childという言葉の訳し方です。 (1) は、法律用語としては「児童」が一般的であるなどの理由で、「児童」と訳しています。
一方、(2)では、「子ども」という言葉を使っています。「児童」という言葉は〈保護の対象〉という子ども観に立脚しており、権利行使の主体という条約の子ども観が伝わりにくいこと、学校教育では「児童」といえば小学生を指すので、中高生に自分たちの条約として受けとめてもらいにくいことなどが、その理由です。
政府も、広報などでは「子どもの権利条約」という名称を用いることを認めています。

そのほか、(1)には次のように適切ではないと思われる箇所も含まれています。

・ 子どもの意見が「正当に重視される」(given due weight)ことを求めた箇所
(12条1項)で、「相応に考慮される」という、原文よりもニュアンスの弱い訳し方を
していること

・「十分な」(adequate)生活水準に対する子どもの権利を保障した箇所
(27条 1項)で、「相当な(生活水準)」という、やはり原文よりも
ニュアンスの弱い訳し 方をしていること

・ 「アイデンティティ」(identity)を「身元関係事項」(8条)、「プライバシー」
(privacy)を「私生活」(16条)と訳すなど、原語の意味が限定されている
箇所があること

・ 「先住民」(indigenous)について、差別 的なニュアンスがある
「原住民」という言葉を用いていること(30条)

このような理由から、また全体的な読みやすさを考慮して、一般には(2)の訳を用いることが少なくありません。

(英語正文)Convention on the Rights of the Child

日本語(1)児童の権利に関する条約(政府訳)

日本語(2)子どもの権利条約(国際教育法研究会訳)